国道2号線のタンデム

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#ピザが食べたい! だと……?

 

実を言うと、僕の生まれ育ったど田舎は、そもそも宅配ピザの配達圏に入っていない。子供のころは、ピザというのはテレビのなかの食べ物で、日曜の朝食にピザトーストが出ると、テンションをMAXにしていたものだ。

 

「ピザが来るらしい」

世紀末のクリスマス前、兄が教えてくれた。なんでも小学校のPTAで有志を募り、みんなでピザを注文して分け合うのだという。大量に注文する代わりに、都会から運んでもらえないかと交渉したのだろう。

 

今年のクリスマスはピザだ!
僕ら3兄弟(兄小6、僕小2、弟幼稚園)のテンションはもはやMADMAX!!! 当日は、兄の習っていた空手の迎えに行ったついでに、母と弟がピザを受け取りに行く算段だった。

 

僕はあいにく留守番。家でがちゃがちゃとクリスマス用の食器を出していると、早めに帰宅していた父が言った。

「アイス買いに行こか」

 

ちょうど、国道2号線沿いに町で初めてのコンビニが誕生したばかりだった。ただ、僕の家からは離れていて、同級生が買い物に行ったとか肉まんを買ったとか話しているのを、うらやましく思っていた。それを知ってか知らずかの、誘いだった。

 

ぼろいママチャリを二人乗りして、団地の坂を下り始める。くそ寒いので、父の背中におでこをぴったりとくっつけた。

 

初のコンビニ(名を「ポプラ」という)は、まずその明るさにビビった。あと、カップラーメンに大量の種類があることにもビビる。

うちのアイス事情といえば、兄白熊、僕モナ王、弟メロンバー、父みぞれの抹茶、母ジャイアントコーン。迷うまでもなく手が伸びた。
ところが、父は言う。

「全部ハーゲンダッツにしよう」

 

むちゃくちゃビビる僕。そ、そんなことが許されるのか?
結局、いちごとバニラ、クッキー&クリームが入ったファミリーパックを1箱買うことにした。

 

帰り道、国道を走るトラックの光に追い越されては、「早く、早く」と父を急かした。アイスが溶けてしまうのではないかと、どきどきして仕様がなかった。しかも家ではピザが待っている。世紀末まじパネェ。

 

「宅配ピザって、うまいんかのう~」

真冬の寒空。汗を浮かべて言いながら、父が自転車をこぐ。アイスはじんわりと溶け始めていたが、それ以上に、ただただ背中が温かかった。

 

 

 

 

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