棋士と餅とコロッケと

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「蕎麦屋の中華蕎麦」という企画で、都内の蕎麦屋を取材した。家系や二郎系も旨いが、昔ながらのラーメンは案外、老舗蕎麦屋のメニューの片隅に残っていたりする。和風出汁の利いたスープが滋味深く、ええ感じなのである。

                                            

ただ、パブロフの犬じゃないが、蕎麦屋に入ったら当然蕎麦欲が高まる。カメラマンの越智さんが撮影する合間、壁に貼られたメニューをしげしげと眺めた。

「おろし揚げ餅そば」とか最高なんだろうなぁ。

 

そういえば、将棋棋士の対局中の出前で、蕎麦やうどんの「餅トッピング」が頻出するのをご存知だろうか。とある棋士の先生に理由を尋ねると、「棋士は流行に乗りやすい」と話していた。

「雁木(がんぎ)とか、流行の戦法はみんな乗るから」

餅ブームだったのか……。ううむ、原宿のギャルみたいで、なんか可愛いな。

 

撮影を無事に終え、高田馬場駅で解散することになった。

「越智さん、せっかくだからご飯食べて帰りましょうよ。何が食べたいです?」

「蕎麦だね」

と即答する越智さん。私も100%同意である。

 

交差点の角の立ち食い蕎麦屋の戸を開ける。越智さんは月見+コロッケ、私はもりそばの食券を買って、お店のおかあさんに手渡した。すぐに番号を呼ばれ、お盆を受け取る。念願の蕎麦だ!

 

「あっ」と私。

「越智さん、コロッケと蕎麦、別々に食べるんですか?」

「だって、つゆに浸けたらでろでろになるじゃん」と越智さん。

「ソースをかけたコロッケをおかずに、白米気分で蕎麦をすするのがいいんだよ」

 

かつて私が好きだった人は、そばつゆででろでろになったコロッケが好きだった。でろでろを追及する余り、狭い下宿の1口コンロに天ぷら鍋を導入。揚げたてさくさくのコロッケをつゆに浸けて「諸行無常だよなぁ」とつぶやく姿を見て、私は真剣にYahoo!知恵袋への相談を検討した。

 

「私は一瞬つゆに浸けて別皿で食べるのが好きですね」

「それだと、コロッケが湯冷めするだろ!」

 

みんなコロッケを愛しすぎてないか?

 

 

半どんの蕎麦屋を見舞う雲の峰

 

 

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